男性不妊の特徴や原因について紹介するブログです

北九州の病院の泌尿器科で働く男性不妊専門医です。日本でも徐々に認識が高まりつつある男性不妊症。男性不妊の治療法や原因についてブログで紹介していこうと思います。

Category: 男性不妊

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世界保健機関(WHO)の不妊原因調査(7273組)では、原因が女性のみの場合が41%、男性のみ24%、男女とも24%、原因不明11%だといいいます。

ここから計算すると男性不妊の割合は48%、約5割です。

また男性不妊の原因別の割合は平成27年度におこなわれた厚生労働省の男性不妊調査によると、造精機能障害(精巣の障害のために精子を作りづらい)82.4%、性機能障害(EDや射精障害)13.5%、精路通過障害(精子の通り道がなんらかの原因でふさがっている)3.9%とされています。

男性不妊を詳しく調べるには精液の検査が欠かせなません。男性に精液を出してもらうため、きれいな個室を備えた医療機関も増えているそうです。それでも、男性が検査に消極的なカップルは少なくないといいます。

精液検査は簡単で、女性に比べ体の負担は少ないです。もっと男性が検査に積極的になってもいいと思います。

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男性不妊を改善するには精子を改善することです。
精子状態は日常生活で改善することも

①禁煙
タバコは卵子だけでなく、精子にも悪影響です。またタバコの本数が多いほど、EDのリスクが高まるといわれています。

②温めない
精子は熱に弱いため、温めるのは厳禁です。ブリーフよりはトランクスがいいですし、長風呂やサウナも避ける。

③禁欲期間は短く

禁欲期間が長いと、精子の質が悪くなるとされています。1週間に3~4回は射精したほうがよいと考えられます。

④ストレスをためない
心理的な要因で起こることの多いEDは、ストレスも原因のーつ。適度に運動するなど、ストレス発散を心がけましょう。

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男性不妊が増えていると言われています。芸能人がカミングアウトしたり情報番組で取り上げられたりして、世間的にも認知されるようになってきました。

でも女性の不妊と比べると、まだまだ男性不妊についての情報は少ないとおもいます。そこで自身の経験を元に男性不妊の情報を紹介していきたいと思います。

最近では男性の不妊治療を積極的に行なっているクリニックも増えてきました。ほとんどが男性医師で、WEBサイトなどで診療内容や男性不妊の情報を公開している施設も多いので、安心して受診・相談できるのではないでしょうか。


ここでは男性不妊の検査をご紹介します。


診察はこんなふうにおこなわれます。

1.問診票に記入
診察の前に問診票を記入して提出します。内容は、結婚時期や性機能、病歴や喫煙・飲酒といった生活習慣など。

2.問診
医師が問診票の内容を確認しながら、さらにくわしい状況を尋ねます。

3.視診・触診
視診と触診は、下着を下げてベッドに横になって受けます。精索静脈瘤の検査は立った状態で。

・陰茎(ペニス)の視診・触診
・身長など
・女性化乳房がないか、体毛の量や分布など
・外性器の発育程度
・精巣容積


気になる精液検査

1.容器を受けとる
検査では専用の容器を使用します。口頭で注意事項の説明がある場合のほか、注意事項の用紙を渡されることも。とり違い防止のために、容器には必ず名前を書きます。

2.採精室へ
精子を採取するために、プライバシーが確保された部屋でマスターベーションを行ないます。不妊専門クリニックでは、雑誌やアダルトビデオなどが設置されていることもあるようです。

3.精液を提出
所定の場所に容器を提出します。スタッフと 直接顏を合わせなくていい配慮があるケースが多いようです。


マスターベーションで採取した精液をしらべるのが、精液検査。精液の量や精子の状態をみます。1回目で問題
がなければOKですが、数値が低いときは2回目にトライします。検査方法などによっては結果に誤差が出て、実際の数値よりも低く出ることがあるからです。

精液の基準値

表1

(WHOの下限基準悁,2010年)より

精液量:1.5ml以上

総精子数:3.900万個以上

PH:7.2以上

精子濃度:1 ml 中に1,500万個以上

精子運動率:運動精子が40%以上。前進運動精子が32%以上

正常形態精子:4%以上

生存率:58%以上

白血球:1ml中に100万個未満


表2

正常精液:表1の基準を満たすもの

乏精子症:総精子数が3,900万個未満

精子無力症:精子運動率が32%未満

正常形態率:4%以上

奇形精子症:形態正常精子が4%未満

無精子症:射精液中に精子が無い


妊娠にとって重要なのは、精子の数よりも、むしろ動き。速くまっすぐに泳いでいける精子がいることが決め手になるようです。



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